ナップスターは,消えない,終わらない,伝説にもならない。そこに,ここに,居続けるのだから。
音楽専門チャンネルのMTV社は,音楽ファイル共有のナップスター社の創設者,ショーン・ファニング氏の伝記映画を製作することでファニング氏と合意した。2003〜4年に放送予定。
2年前,MTVのビデオ・ミュージック・アワードに招待され,ステージにあがるファニングの姿があった(過去記事)。その後,ナップスターは息の音を止められ,ベルテルスマン社への買収も阻止され,あとは死を待つのみとなっている。だが,世界中を自由に飛び回る音楽ファイルの量は2年前の数倍にまでなっているだろう。そして,この先,それがとどまることはない。
ファニングがネットワークに触れたのは1996年,高校2年のときだったという。そして大学1年の1998年,友人がライコスのMP3検索エンジンを利用してMP3を探しているのをみて,より効率的なソフトを作り出した。彼のハンドルネームをとってナップスターと名付けられたそのソフトは,彼の大学寮の部屋のパソコンをサーバーとして運営されていた。だが,事業化した翌年には3000万人近くのユーザーを抱え,その後6000万人近くにまでなった。彼は云っている。「ナップスターは,ネットワークの基本構造そのものだ」。なにか新しいものを生み出したんぢゃない,元からあったものそのままを使っただけ。ネットワークの姿を忠実に表したものでしかなかった。だから,これからも消えない。ナップスターを否定することは,ネットワーク自体を否定することだ。だから,終わらない。ナップスターは,ネットワーク上に,そして私たちの心に,未来永劫残り続ける。
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